京都で更年期を漢方で治す④【漢方錦】
2020/12/22
更年期の諸症状を漢方薬で改善する④
更年期障害を漢方薬で改善する4回目。
今日は外的要因、外的精神環境、ストレスによる更年期障害について書きます。
更年期とは、女性ホルモンの生産量の低下と自律神経の乱れがある上に
ストレスがかかることにより、余計に自律神経の乱れによる症状、精神的な症状が
発症することになります。
●肝鬱(かんうつ)
鬱(うつ)とは、うつ病とは違います。
何となくウツウツした感じ、愁い。
「愁い」とは、思いなやむ、思いにしずむ、悲しむ、さみしい、心が沈む、心を痛める。
「愁い」と一言だけでこれほど多くの表現、感情があります。そして、これらの感情は
女性が持つ特有のものだとされています。
ストレスがかかり、またはストレスを感じると「肝」の働きが弱くなり、「肝気」の動きが悪くなります。
「肝気」の流れが悪くなり、怒りっぽくなったり、抑うつ状態になります。
怒りっぽい、イライラする、憂うつ感、ため息、めまい、肩こり、頭痛、頭重感、わき腹に張りがある。
血圧上昇。どこかに痛みがある。
ここに挙げた例だけではなく、様々な症状があります。
◎漢方薬を服用して治療する方法
「肝」の動きを良くして、「肝気」の流れを良くし、鬱(うつ)を解く漢方薬を服用します。
●肝鬱化火(かんうつかか)
「肝鬱」が進み、熱化し「肝」に「火」が発生します。「肝火」といいます。
「肝火」が「心」を乱します。多くの場合は「肝火」が「心」に波及し、「心火」を
引き起こします。
「心」が乱れ「心火」となると、不眠が生じます。あれこれ考えてイライラして寝付けない
夢をよく見る、寝てもすぐに目が覚める、朝早く目覚める。怒りっぽい、頭痛、耳鳴り
胸脇部が張る。不安感が強い。
「心」が乱れた状態を『心煩不安』(しんはんふあん)といいます。
「煩」(はん)とは、患う、思い悩む、イライラする、焦る、心配。
ここでも女性の特性が現われます。
◎漢方薬を服用して治療する方法
「肝気」の流れを良くして、「肝火」を冷まし、「心」を安定させる漢方薬を服用します。
不眠や不安感を伴うことが多いので、その場合は、「心」に効く「養心安心」の働きのある
漢方薬を服用します。
「肝気」の流れを良くする漢方薬と、「養心安心」に働く漢方薬を
一緒に服用することも多いです。
更年期障害が慢性化してくると、「陰」「陽」両虚に移行します。
しかも更年期障害は比較的短い時間で「陰陽両虚」に移行します。
私は来年2021年には58歳になります。
すでに「陰陽両虚」に両足とも突入していると感じます。
ではどんな症状になるのか。
●「腎」の陰陽両虚
寒がりで冷え性であるが、顔はのぼせる。
のぼせて汗が出やすいが、冬は苦手、寒がり。
一般的には軟便気味,下痢気味と言われるが、女性は便秘も多い。
(教科書通りにはいきません)
◎漢方薬を服用して治療する方法
「じん」の「陽」を補う漢方薬と、「陽」があるべきところにしっかり収める
漢方薬を一緒に服用します。
「陽」があるべきところに収める漢方薬は、「安心」(心を安定させる)にも働き
不眠、不安感に効果があります。
言葉は良くない、うれしくないですが、更年期を過ぎると、老年期に入ります。
不眠や不安、物忘れといった症状がより進みますから、この漢方薬2種類は
まさに抗老化、アンチエイジング漢方と呼んでよいと思います。
●真陽発病(しんようはつびょう)
「腎陽」が減ってしまう、虚してしまうために(陽が軽くなる、そんなイメージ)
「腎」の「陽気」が体の上部に浮いてしまうことを「真陽発病」と言います。
下半身が冷える、元気がない、疲れやすい、足は冷えるが、上半身はのぼせる
汗が出る、めまい、血圧の上昇などがあります。
◎漢方薬を服用して治療する方法
「腎」の陽を補い、「陽」が上に浮かないように
しっかりと安定させる漢方薬を服用します。
上の腎の陰陽両虚よりもさらに「腎陽」を補う力の強い漢方薬を服用します。
*「腎陽」を補うことを季節でいえば《冬》にはしておきたい養生です。
京都新聞マイベストプロウェブサイトコラム、一緒に読んでください。
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